クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
家に帰ると、2人で夕飯のカレーの支度に始める。
修哉さんはじゃがいもの皮剥きを手伝ってくれる。
怪我をされると困るなぁと、ハラハラして見ていたけど意外と上手でびっくりする。

「皮剥きやった事あるんですか?
上手でびっくりしました。」

聞けば学生の時にあのレストランでピアノを弾くだけじゃなくて、厨房の手伝いもしていたらしい。
また知らない一面を見れた気がして嬉しい。

音大に通って、ピアノを教えるバイトもしたと言う。
知らなかった10年間を少しでも知る事が出来て良かった。もっと早くいろいろ聞けばよかったな。

「音大学生だったんですね。
その頃の修哉さんに会って見たかったなぁ。
きっとモテモテでしたよね。」

「そう言うの面倒臭いと思ってたから、見た目チンピラみたいだし別にモテて無いよ。」

あっ、なんか喧嘩っぱやそうって思ってたの根に持ってるみたい。
思わず、ふふふっと笑ってしまう。

「学費は母方の叔父がいて、出世払いで貸してくれたんだ。
結婚してないから金があっても使い道が無いらしい。」

「羨ましいですね。
叔父さんがいたんですね!知りませんでした。」

「俺も母親が亡くなってから知ったんだ。
高校をこっちにしたのは叔父と暮らす為だった。」

「そうだったんだ。
叔父さんは何処に住んで居るんですか?
一度会って見たいです。」

「俺も、小春の家族に一度会いたい。
同棲してる事を認めて欲しいし、
ちゃんと了承を得てから堂々と付き合いたいんだ。
引越した事もまだ言ってないだろ?」

気にしてくれてたんだ。
そういえば、前にも言われたな。

「こっちに来てからあんまり連絡取ってないんです。
心配かけたく無くて、支店長の話しも出来てません。
母も小さい子共がいるから忙しいんだと思います。」

「そっか、
じゃあ。今夜電話してみよう。
俺の事ちゃんと紹介してくれる?
俺が親だったら心配で堪らないけどな。」

「たまにメールは来るんです。
私も当たり障り無いメールならしてますし。」

「修哉さんの事話して無いんでびっくりしちゃうかも。」
急に心配になってくる。

「じゃあ。夕飯食べた後電話しよう。」

「分かりました。…なんか緊張してきた。」

「自分の親だろ?それを言うなら俺の方が緊張する。」
修哉さんでも緊張とかするんだ。意外に思って顔を見上げる。

「俺が緊張とかしないと思ってるのか?
小春の前じゃ、ある意味緊張しっぱなしなんだけど。」

どう言う事⁉︎首を傾げて伺う。

「小春はたまに唐突だからだよ。」
ぶっきらぼうに言うと、
突然頬にキスをしてきた。

びっくりして固まる。
「そう言う事。突然されるとヤバいだろ。」

あっ、今朝の事で緊張させちゃったの⁉︎

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