クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
小春の顔を見て、少し気持ちが落ち着く。

近くに置いてあったパイプイスに座りながらため息を吐く。
「強引にでも送れば良かった…。」

「違います。私が電車でいきたかったんです。」
首を横に振ろうとするのを修哉が慌てて両頬を軽く抑え止める。
「小春、頭動かすな。安静にしてないと。」

「修哉さんが気に病む必要は無いです。
大丈夫だと過信した私が行けないんです。
…最近は貧血で倒れる事なんてなかったので…。」

「無事ならそれでいい。」
小春の手を取り軽く手の甲に口付けをする。

外で剣持が待機していたのを思い出す。
「剣持も、外に来てるんだ。一回帰るように言って来るからちょっと待ってて。」

「修哉さんもお仕事戻ってください。
私は大丈夫なので…。」
心配して小春は言う。
「嫌だ。仕事より小春が大事だ。」
そう言い残して席を離れる。
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