クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

「小春。」
不意に声がして振り返ると、送迎レーンから車に降りてきた修哉さんがいた。

「お疲れ様です。すいません。待たせてしまいましたか?」

「いや、さっき着いたところ。

その、花束は?いい知らせみたいだな。」
嬉しそうに微笑み、駆け寄ってくる。

「さすがに言わなくても、バレちゃいますよね。無事合格を頂きました。」
周りの目も気にせず、花束ごとふわりと抱きしめられる。

「しゅ、修哉さん。誰かに見られちゃいます。」
慌てて腕の中から逃れようとする。

「良かった。俺にもお祝いさせてくれ。」
そう言って、小春の手を取り車に誘導する。

「今からどこに行くんですか?」

「内緒」
そう言って私のシートベルトを締めてくれる。
心配症で過保護な感じは相変わらずで、いつも優しく包んでくれる。

修哉さんは私と再会した頃から髪を伸ばしていて肩ぐらいになった髪を軽くまとめて結っている。

それはそれで大人な色気を感じ、イケメン度合いが増していて道ゆく人が振り向くぐらいだ。
一度どうして切らないのか聞いたら願掛けだって教えてくれた。

「腹減ってる?」
修哉さんが運転しながら、ちらっとこっちを見てくる。

「まだそんなには空いてないですよ?」
今日はお店は定休日で試験のみだった為、夕方5時を回ったくらいで夕焼けが眩しい。

「じゃあ。ひと仕事してもらいたいんだけど。」

「何ですか?お手伝いしますよ。」
なんだろうと思いながら快く了解する。
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