クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
「分かりました。では、お客様切らせていただきます。」
ケープを丁寧にかけて、
丁寧に髪を切っていく。
初めは手が震えたけれど、
だんだんと緊張が取れて切ることだけに集中していく。
「修哉さんの髪、クセがなくて素直なので切りやすいです。」
鏡越しに話しかける。
「本人と違って扱い易い?」
苦笑いしながら皮肉ってくる。
「修哉さんも根は素直で優しい人ですよ。」
ニコリと笑かける。
「そう思うのは小春がいい子だからだ。」
「中学の時も思ってましたよ。凄く気が利く優しい先輩だって。」
「それじゃあ、小春限定だな。
俺は優しい人でも気が利く人でも無いから。でも小春といると自然といい奴になるんだきっと。」
「私の先輩の悪口は辞めてくださいね。」
「では、シャンプーに入ります。こちらにお願いします。」
シャンプー台に誘導する。
いつもお客様にする様に顔にガーゼを被せる。
「お湯加減はいかがですか?」
「大丈夫です。」
優しい修哉さんは笑いながら、美容院ごっこに付き合ってくれる。