クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
電話を終えて、しばし放心状態だった。
まるで夢の中で話をしたような不思議な感覚がして、頭がボーっとする。

時計を何気なくチラッと見たら、
すでに16時半を過ぎていた。
大変、早く行かなくちゃ。慌てて身なりを整え、靴を履き家を飛び出す。
 
コンビニは家から歩いて15分くらいのとこにある。
本当に先輩、今夜来るのかなぁ?
急ぎながらもさっきの電話が気になり、考え込む。
大人になった先輩は、昔より輪を掛けて優しくて思いやりのある人になっていた。

あれじゃあ。
モテて困っちゃうだろーなぁ。

それに歌手だし…。
自分と並んで歩く姿を想像する。
ため息が出る。

はぁー。どう見ても不釣り合い。
兄妹くらいにしか見えないよなぁ。

現実を見た気がする。
ちゃんと。話さなくっちゃ。話せるかなぁ。

あれ。でも、私。さっきおどおどしないで普通に喋れたなぁ。
あんな事にあってから
男の人と話すだけで怖かったけど、
電話だったからかな?

先輩、背も高いし、会ったらやっぱり怯えちゃいそう。

…なんか緊張する…
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