クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
「お疲れ様です!
先輩、コーヒーブラックです。」
呆れたように顔を上げる修哉。
何でか昔からこういう暑苦しい奴にばっか好かれるなぁと思う。剣持もどっちかって言うとこっち系だよなぁ。
苦笑いして「ありがとう。」と言ってコーヒーを受け取る。
「いえ、お安い御用です!
これから、毎日お届けしますよ。もちろん。毎日、小春さん迎えにくるんですよね?」
「小春に嫌がられない限りな…」
と呟く。
「小春さん。アレっすよ。
ツンデレ系なんですよきっと。
嬉しいのに素直に喜びを表せないんですよ。」
お前に小春を語られたくないわ。
とちょっとムッとしながら、シッシッと手を振り
「早く戻れ、小春が心配する。」
と、追い払う。
「えっ。先輩はそっち系の人ですか?」
修哉の話も聞かずタブレットを覗いてくる。
「何?どっち系?」
怪訝に眉間に皺を寄せる。
「音楽関係の仕事ですか?
それって鍵盤ですよね!
音楽編集アプリじゃないですか!!」
なんとなくコイツもこっち系かと思いながら、軽く睨み
「早く、戻れ」
再度、シッシッとする。
「やっぱ先輩、リスペクトっす。
いやぁー。話し合いそうで嬉しいです!」
そう言い残して、手を振って戻って行った。
コイツももしかして剣持みたいな、
ロック系の暑苦しい奴か?っと思いながら、またタブレットに目を落とした。
「小春さん!先輩ってあっち系の人じゃないですか!早く行って下さいよ。俺とまた共通点見つけちゃいましたよ。」
やっと戻ってきたと思ったら、興奮収まらずテンションを上げて片山は話し出す。
「あっち系ってどっち系⁉︎」
「あっ!まったくおんなじ反応」
片山は嬉しそうに話す。
「音楽関係って事ですよ!!もしかしてロッカーっすか⁉︎」
「えっと。先輩はピアノが凄く上手だけど、どっちかって言うとクラッシックの方が好きだと思うよ。」
曖昧に答える。
「マジっすか!!
音楽の原点じゃないっすか!
ホント、カッケーなぁ。一緒に熱く語って飲み明かしてみたいっす。」
「嫌。きっと熱く語るとかは無いと思うなぁ。どっちかって言うと1人で静かに飲むタイプだよきっと。」
なんだか、片山君が暴走しそうで急いで否定する。
「マジ、リスペクト!!」
何度も呟いて、片山はレジで仕事を始めた。
ふふっと笑って、
彼女も棚出しの仕事に戻った。