クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
ピンポンっと
小気味良い音を立ててエレベーターが開く。
2人の長身の男達がエレベーターに乗り込んだ時、後ろに居た私に気づく。
どうしよう。
次のが来るまで待とうかなぁ。
先程の話を盗み聞きしてしまった手前この微妙な空気の中一緒のエレベーターで上に行く自信が無い。
しかも男性恐怖症。
心臓がドクンと高鳴り足が震えて動けない。
「乗らないんですか?」
黒縁メガネの男が声をかけてきた。
挙動不審気味にキョロキョロしつつ、頭をペコリと下げて何とかエレベーターに乗り込んだ。
出来るだけ目立たない様にエレベーターの隅入口のすぐ横に移動して足元をひたすら見つめる。
「あの。何階ですか?」
階数ボタンの側に立つ、
黒縁メガネの男が再度話しかけてくる。
「す、すいません。15階です。」
下をひたすら向いたまま小春は小さな声でなんとか答えた。
サングラスの男は、静かにエレベーターの後ろにある鏡にもたれながら、入ってきた小柄な女性になんとなく目を向けた。
えっ。
サングラスの男は思わず二度見する。
心臓が跳ねて目を見開く。
似てる!! …と思う。
彼女に似てる。
ずっと。
心の奥底で燻っていた思いがぶり返す。
きっと歌っていればどこかで気付いてもらえるんじゃないかと、淡い気持ちを抱えながら、ここまできたけれど、
会いたい思いが強すぎて、まさか幻覚か⁉︎
あの頃よりは短いが、明るい栗色の肩までのストレートヘア。
うつむいた横顔。
まさか…。
こんな所で…。
いや。
彼女はこんなに小さかっただろうか?
俺の背があの頃よりも伸びたせいか?
思わずサングラスを取り、彼女の横顔を瞬きもせずに見つめ続ける。
エレベーターは男の動揺を気にもせず、
チンっと小気味良い音を立てて15階に到着する。
彼女が俯いたままペコリと頭を下げてエレベーターを降りようとする。
衝動的に、思わず男は彼女の手首を掴む。
「えっっ!!」
ビクッと肩が跳ね、彼女は驚いて思わず男を見上げる。
瞬間。お互い目線が絡む。
男は切長の目を見開き驚く。
はたから見たら睨んでいるかの様にも見える。彼女を凝視して
「君は…!?」
開くのボタンを押しながら黒縁メガネの男は、普通ではあり得ないその様を目の当たりにして驚く。
「どうしましたか⁉︎
修哉⁉︎」
捕まれた腕と彼を交互に見ながら小さくパニックに陥る。
動揺して手が震える。
不審人物に間違われたのかも。
何か喋らなくちゃ。と慌てる。
「あ、あの。お、お弁当のお届けできた者です。
えっと…
受付で直接お届けするように言われた
ものですから…」
腕を握る男の強い目線に怖気づき
おどおどしてしまう。語尾は震える様な
か細い声になってしまった。
「…名前は?」
男は手を離す事なく、
それでも自分を落ちつかせるかの様に、目線を少し緩め静かな低い声でこちらに問いかける。
「ま、まごころ弁当の…櫻井です。」
今にも泣き出しそうなくらい怯えた感じで答える。
黒縁メガネの男は2人を交互に見ながら、
それでも場を収める様に冷静に、
彼女の手を握る男の手を取り、離させる。
「彼女、びっくりして怯えてますから。
どうしたんですか?
普段から冷静なあなたが。」
男を、落ちつかせるように話しかける。
「……西野小春?」
小気味良い音を立ててエレベーターが開く。
2人の長身の男達がエレベーターに乗り込んだ時、後ろに居た私に気づく。
どうしよう。
次のが来るまで待とうかなぁ。
先程の話を盗み聞きしてしまった手前この微妙な空気の中一緒のエレベーターで上に行く自信が無い。
しかも男性恐怖症。
心臓がドクンと高鳴り足が震えて動けない。
「乗らないんですか?」
黒縁メガネの男が声をかけてきた。
挙動不審気味にキョロキョロしつつ、頭をペコリと下げて何とかエレベーターに乗り込んだ。
出来るだけ目立たない様にエレベーターの隅入口のすぐ横に移動して足元をひたすら見つめる。
「あの。何階ですか?」
階数ボタンの側に立つ、
黒縁メガネの男が再度話しかけてくる。
「す、すいません。15階です。」
下をひたすら向いたまま小春は小さな声でなんとか答えた。
サングラスの男は、静かにエレベーターの後ろにある鏡にもたれながら、入ってきた小柄な女性になんとなく目を向けた。
えっ。
サングラスの男は思わず二度見する。
心臓が跳ねて目を見開く。
似てる!! …と思う。
彼女に似てる。
ずっと。
心の奥底で燻っていた思いがぶり返す。
きっと歌っていればどこかで気付いてもらえるんじゃないかと、淡い気持ちを抱えながら、ここまできたけれど、
会いたい思いが強すぎて、まさか幻覚か⁉︎
あの頃よりは短いが、明るい栗色の肩までのストレートヘア。
うつむいた横顔。
まさか…。
こんな所で…。
いや。
彼女はこんなに小さかっただろうか?
俺の背があの頃よりも伸びたせいか?
思わずサングラスを取り、彼女の横顔を瞬きもせずに見つめ続ける。
エレベーターは男の動揺を気にもせず、
チンっと小気味良い音を立てて15階に到着する。
彼女が俯いたままペコリと頭を下げてエレベーターを降りようとする。
衝動的に、思わず男は彼女の手首を掴む。
「えっっ!!」
ビクッと肩が跳ね、彼女は驚いて思わず男を見上げる。
瞬間。お互い目線が絡む。
男は切長の目を見開き驚く。
はたから見たら睨んでいるかの様にも見える。彼女を凝視して
「君は…!?」
開くのボタンを押しながら黒縁メガネの男は、普通ではあり得ないその様を目の当たりにして驚く。
「どうしましたか⁉︎
修哉⁉︎」
捕まれた腕と彼を交互に見ながら小さくパニックに陥る。
動揺して手が震える。
不審人物に間違われたのかも。
何か喋らなくちゃ。と慌てる。
「あ、あの。お、お弁当のお届けできた者です。
えっと…
受付で直接お届けするように言われた
ものですから…」
腕を握る男の強い目線に怖気づき
おどおどしてしまう。語尾は震える様な
か細い声になってしまった。
「…名前は?」
男は手を離す事なく、
それでも自分を落ちつかせるかの様に、目線を少し緩め静かな低い声でこちらに問いかける。
「ま、まごころ弁当の…櫻井です。」
今にも泣き出しそうなくらい怯えた感じで答える。
黒縁メガネの男は2人を交互に見ながら、
それでも場を収める様に冷静に、
彼女の手を握る男の手を取り、離させる。
「彼女、びっくりして怯えてますから。
どうしたんですか?
普段から冷静なあなたが。」
男を、落ちつかせるように話しかける。
「……西野小春?」