クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
なんだろうと思い封筒を開くと、一枚の紙が入っていた。
恐る恐る読む。
いや読む前からもしかしてと思って手が震える。
この字は元店長の字だ。
(あなたの事が好きです。
どうか僕から逃げないで。)
何で?
何で?ここが分かったの?
あれ以来すぐに引っ越し、以前の仕事仲間にも、誰にも離してなかったのに。
手が震えて手紙がはらっと落ちる。
先輩はこの人に会ったの⁉︎昨日⁉︎
修哉を見上げて、
「せ、先輩は大丈夫でしたか⁉︎何か言われませんでした?」
「俺の事より自分の事だろ?
昨日、不審に思って声をかけたけど、顔も見ずに走り去ったから、文句の一つも言えなかった」
苦笑いしながら、震える小春の手をぎゅっと包み込む。
「どうやら、コンビニにも現れたみたいだ。片山が昨日、教えてきた」
えっ!
コンビニも?じゃあ。私の全てが分かってるって事⁉︎
足が震えてしゃがみ込みそうになる。
すかさず修哉が腰を抱いて、ベッドに座らせてくれた。
「小春には言わずにいようか迷ったけど、いつも一緒には居られないし、自分で自分を守って欲しいから。
仕事はどうする?
事情を話せば今すぐにでも辞められるんじゃないか?」
「バイトを辞める⁉︎」
「コイツの事が安心出来るまででもいい。仕事中に小春に近づいてきたらどうする?
逃げようがないだろ?」
せっかく築いた仕事場をまた、あの人に壊されるの?
バイトだって、私を必要としてくれてる。
すぐ辞めるなんて無責任な事はしたくない。
コンビニについては修哉にも迷惑がかかるから、出してあるシフトが終わったら時間帯を変えようとは思ってたけど、
あの人から負けたくない。
また、逃げたくない。