クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
風呂を出てリビングに行くと、
小春がソファでクマのぬいぐるみを抱え眠っている。
 
こいつには一生勝てそたうもないなと苦笑いしながら、小春をクマごと抱き上げる。

身じろぐが目が開く事はない。
ずっとバイト続きで休む時間も無く働いて疲れているはずだ。 
今の俺ならバイトなんてしなくても小春1人くらい養ってあげられるが、それは絶対許さないだろうな。
 
小春は何かと気を使うし、支払いさえも平等であろうとする。そこが小春らしいし、昔と変わらない所だが、俺は少し寂しく感じる。
少しくらい頼って欲しいし頼られたい。

頑張ってる小春に何かプレゼントでも買ってやりたいが、拒まれるだろうか?

寝室に小春を運びながらいろいろ思案する。

ダブルベットに小春を下ろし、丁寧に布団を掛けると隣に横になる。

小春の寝顔は何時間でも見ていられるな。

本当天使か?って思うぐらい可愛い。
化粧を取ると、中学の頃の小春みたいだ。

あの頃は触れたくても俺なんかが触れてはいけないと躊躇して、それでも話しかけたくてこっちをみて、ただ笑いかけて欲しくて、どうしようもなくその距離が辛かった。

もっと素直に好きだと認めていたらこんなに離れる事は無かったのかもしれない。
会う事が叶わないと悟った時の空虚な気持ちは今も忘れない。

決して2度とこの手は離さない。

小さな寝息を立てて可愛く眠る小春を見ながら幸せな眠りに落ちた。




顔にかかる髪を耳にかける。
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