クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
夕方仕事を終えて帰宅する。

何もすることが無い時間に慣れてなくて、何となく洗濯機を回してみる。

ここは週2回ハウスキーパーが入ってるそうで部屋の掃除も完璧。
グランドピアノも埃一つも無いくらいピカピカだ。

そういえば昨日、ピアノ弾いてもらう前に寝ちゃったなぁ。

修哉さんからさっきメールがあってちょっと遅くなるらしい。私に合わせて無理してるんじゃ無いか心配になる。

外は今にも雨が降りそうな空だ。

ピアノの椅子に座り鍵盤を叩いてみる。キラキラ星ぐらいしか弾けないなぁ。修哉さんのキラキラ星聴きたいな。

昔、修哉さんが教えてくれた伴奏を付けて両手で弾いてみる。

あの頃、もっといろんな話をすれば良かった。
修哉さんはいつも1人で居た。
笑った顔もあまり見たことなかった。
学校に来ない日も結構あったし、きっと修哉さんの家族に何かあったんじゃないかな?

だけど、あの頃の私は話を聞く事も出来なかった。
修哉さんが話しかけてくれる事に舞い上がって、子供だったな。
私の話ばっかり聞いて、自分の事はあまり話てくれなかった。

今だったらもっとちゃんと話しを聞けるのに聴きたいのに。

急にリビングのドアが開いてびっくりして振り返る。修哉さんがドアに寄りかかってこっちを見ている

「お帰りなさい。すいません気づかなくて」
急いでピアノを閉じて、修哉さんの所に行く。

「ただいま。なんか真剣な顔で弾いてたから
ちょっと見てた」
優しく笑って頭を撫でてくれる。

「えっ、いつから居たんですか?考え事してただけです」
恥ずかしくなって俯く。


「遅くなってごめん。腹空いただろ?先に何か食べに行こう。」

「はい。」

にっこり笑って返事をする。

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