さよならの向こうにある世界

 神様はきっといる。だってあの時、神様は私を見捨てなかったのだから。彼が渡米してすぐに私にもドナーが見つかり、そして無事に手術を終えた。そう、それが今の三浦さんと同じ二十歳のときだ。だけどそれから五年間、彼が私に会いに来てくれることは一度もなかった。今どこで誰と何をしているのか、最初のうちはすごく気になっていたけれど、そんな思いもいつの間にか時間と共に消えていった。

 こうやって、人は大切な人を時間が経つにつれて忘れていくものなのだろうか。もしそうだとしたら、人との出会いって、繋がりって、いったい何なのだろう。その程度でしかないのなら、出会いが何だっていうんだ、別れが何だっていうんだ。そんなもの、人生においてすごくちっぽけなものじゃないか——。
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