財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
二、大人の世界への一歩
月曜日。事務所に出勤した私は、工藤さんと手分けして、母のお稽古の生徒さんに今週はお休みすることを連絡した。
私がお稽古を受け持っているのは初心者で、事務所の一室で週四回教えている。生徒さんは仕事帰りの会社員が主である。初心者なのでまずは生け花に慣れ親しんでもらえるように、楽しいお稽古を心掛けている。
「紗世さん、花材のキャンセルもしておきます」
工藤さんに言われてうなずきかけたが、我妻社長の会社への連絡なので私からしようと思い立った。
「あ、私が連絡します」
我妻社長から以前もらった名刺を出して、スマホから電話をかける。
五回ほど呼出音が鳴ったあと、我妻社長の声が聞こえてきた。
《もしもし? 我妻ですが》
見知らぬ番号だからか、我妻社長の声が少し硬い。
「名雪紗世です」
《ああ、紗世さんでしたか》
我妻社長の声が柔らかくなる。
「はい。先日はお弁当をありがとうございました。実は、母が今週はお稽古をお休みすることになりまして」
《あ、家元の分の花材ですね。わかりました。キャンセルしておきましょう》
私がお稽古を受け持っているのは初心者で、事務所の一室で週四回教えている。生徒さんは仕事帰りの会社員が主である。初心者なのでまずは生け花に慣れ親しんでもらえるように、楽しいお稽古を心掛けている。
「紗世さん、花材のキャンセルもしておきます」
工藤さんに言われてうなずきかけたが、我妻社長の会社への連絡なので私からしようと思い立った。
「あ、私が連絡します」
我妻社長から以前もらった名刺を出して、スマホから電話をかける。
五回ほど呼出音が鳴ったあと、我妻社長の声が聞こえてきた。
《もしもし? 我妻ですが》
見知らぬ番号だからか、我妻社長の声が少し硬い。
「名雪紗世です」
《ああ、紗世さんでしたか》
我妻社長の声が柔らかくなる。
「はい。先日はお弁当をありがとうございました。実は、母が今週はお稽古をお休みすることになりまして」
《あ、家元の分の花材ですね。わかりました。キャンセルしておきましょう》