財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
《パーティーは何時まで?》

「水道橋のホテルで五時までです。それからになりますが、待ち合わせの場所まで行きますね」

 ずっと落ち込んでいた気持ちがだんだんと浮上してくる。

《いや、そこのホテルのロビーで待っている》

「え? ホテルのロビーで?」

《入学祝いをしたレストラン、覚えてるか? そこで卒業も祝いたいと思っているんだ》

 一般のお客様は入れないという会員専用フロアのある最高級のホテルで、大学入学のお祝いをしてくれたのは約四年前。静かでセレブリティたっぷりの素敵なレストランだった。

《紗世?》

「あ、はい。覚えています。あのホテルのお料理はとても素晴らしかったです」

 会員専用フロアならばマスコミもシャットアウト出来るので、京極さんはそこに決めたのだろうと推測する。今は小玉さんと結婚秒読み段階で、マスコミはちょっとした情報でも欲しがっているだろうから。

《じゃあ、ロビーで待っている。時間は気にしないで来るように》

「……京極さん、私がお食事するホテルへ行った方がいいのではないでしょうか?」

 私と待ち合わせて車で移動するなんて、マスコミにチェックされたら京極さんの立場が悪くなる。
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