財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
そのとき、ふいに京極さんがこちらに顔を向けた。私たち三人が立ち止まって見ていたことに気づいていたようだ。外灯はそんなに明るくないし顔まではわからないはず。
「い、行こう」
侑奈と加茂君を促して、気になるふたりから離れた。
「すごいの見ちゃったね。もう少しでキスシーンだったかも」
歩を進めながら侑奈が興奮気味に口にする。
「あんなに綺麗なんだから、恋人くらいいるよな。男もあんな高級外車に乗っているんだから金持ちだよ」
加茂君も侑奈に同意するが、私の心臓は嫌な音をバクバク立てている。
「あの男の人、めちゃくちゃかっこよかったわ。でも、芸能人じゃなさそうね。ん? 紗世? どうかした?」
会話に加わらない私に、侑奈が顔を覗き込む。
侑奈には〝京極さん〟という男性にずっと憧れを抱いていることは話していたが、写真を見せたことはない。名前も教えていない。大親友だけれど、私の秘めたる想いを口にしたら恋の成就祈願が失われそうで言えなかった。
京極さんとは恋人になる可能性はないのだからと、年相応のボーイフレンドがいた方が良いよと、加茂君に頼んで何人か紹介されたのだ。
「え? ううん。なんでもないよ」
「もうっ、酔ってない? 気をつけて帰ってよね? 心配だから着いたらメッセージちょうだいね」
「い、行こう」
侑奈と加茂君を促して、気になるふたりから離れた。
「すごいの見ちゃったね。もう少しでキスシーンだったかも」
歩を進めながら侑奈が興奮気味に口にする。
「あんなに綺麗なんだから、恋人くらいいるよな。男もあんな高級外車に乗っているんだから金持ちだよ」
加茂君も侑奈に同意するが、私の心臓は嫌な音をバクバク立てている。
「あの男の人、めちゃくちゃかっこよかったわ。でも、芸能人じゃなさそうね。ん? 紗世? どうかした?」
会話に加わらない私に、侑奈が顔を覗き込む。
侑奈には〝京極さん〟という男性にずっと憧れを抱いていることは話していたが、写真を見せたことはない。名前も教えていない。大親友だけれど、私の秘めたる想いを口にしたら恋の成就祈願が失われそうで言えなかった。
京極さんとは恋人になる可能性はないのだからと、年相応のボーイフレンドがいた方が良いよと、加茂君に頼んで何人か紹介されたのだ。
「え? ううん。なんでもないよ」
「もうっ、酔ってない? 気をつけて帰ってよね? 心配だから着いたらメッセージちょうだいね」