財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
ひとりではない、温かい腕の中で意識が浮上した。
眠っている京極さんの横顔にドキッと心臓が跳ねて、昨晩のことを思い出す。
酔っていたけれど、京極さんに抱かれたのは覚えている。
大人の世界を身をもって知り、なんにでも立ち向かえる気持ちになれる。京極さんに抱かれたら、我妻社長と結婚に進める。そう思っていたが、京極さんをもっともっと好きになっている。
でも彼は小玉さんと結婚するのだ。家柄も良い彼女と、詐欺に騙されて名雪流も存続させられるかわからない私。とても太刀打ちできない。
今何時……?
重いカーテンの隙間から明かりが見えるので、朝にはなっているだろう。京極さんを起こすのは忍びなくて、体を動かせない。
そのとき、ひとり掛けのソファの方から電話の鳴る音が聞こえてきた。
京極さんはピクッと頭を動かし、私は眠っているフリをする。そっと私から離れた彼がなかなか鳴りやまないスマホに近づく気配がした。
「奈緒、どうした?」
奈緒……小玉さんは奈緒美……。愛称で呼んでいるんだ。
胸が苦しくなるほどに痛みを覚えて、顔が歪む。
話をしている京極さんの声が小さくなる。リビングの方へ行ったようで、私は広いベッドから足を床につけた。
眠っている京極さんの横顔にドキッと心臓が跳ねて、昨晩のことを思い出す。
酔っていたけれど、京極さんに抱かれたのは覚えている。
大人の世界を身をもって知り、なんにでも立ち向かえる気持ちになれる。京極さんに抱かれたら、我妻社長と結婚に進める。そう思っていたが、京極さんをもっともっと好きになっている。
でも彼は小玉さんと結婚するのだ。家柄も良い彼女と、詐欺に騙されて名雪流も存続させられるかわからない私。とても太刀打ちできない。
今何時……?
重いカーテンの隙間から明かりが見えるので、朝にはなっているだろう。京極さんを起こすのは忍びなくて、体を動かせない。
そのとき、ひとり掛けのソファの方から電話の鳴る音が聞こえてきた。
京極さんはピクッと頭を動かし、私は眠っているフリをする。そっと私から離れた彼がなかなか鳴りやまないスマホに近づく気配がした。
「奈緒、どうした?」
奈緒……小玉さんは奈緒美……。愛称で呼んでいるんだ。
胸が苦しくなるほどに痛みを覚えて、顔が歪む。
話をしている京極さんの声が小さくなる。リビングの方へ行ったようで、私は広いベッドから足を床につけた。