君色の空
違う…


私が求めていた幸せはこんなんじゃない…。

ただ千秋が隣で笑っていて

その隣で私が笑っていられるだけでよかった…

「ち…千秋やめてっ!!!!!!!!!!!」

「亜美…?」

「亜美さん!!!こんな男忘れたらどうですか!!!

亜美さんは千秋さんといることで

苦しむかもしれない!!!それでも尚千秋さんといる意味などないでしょう!!!」

「朱月君…」

「俺は…昨日もその前の日も…

俺がここに来てから亜美さんの本当の笑顔なんて見ちゃいない!!

俺が…俺達が見ていた亜美さんの笑顔はどれも笑っていなかった…どこか悲しそうで…

どれも作り物の笑顔じゃないか…

そこまでして千秋さんと居たって…亜美さんは幸せなんかになれるはずがない…っ…」

そう言って朱月君は泣き崩れた…

美桜君…朱月君は

人前で怒鳴りつけて殴るような人じゃない…

ましてや…泣くような人でもない。

泣かせたり出来ない人だって私知ってる…

それは昨日…

事務所で誰もいなくなってから一人で泣いていた時の事…

朱月君が急に事務所に息を切らしながら勢いよく

入ってきて…

何も聞かずにただ抱きしめてくれて…

何も言わずに頭を撫でてくれて…

温かいココアを入れてくれた。

そして落ち着くまで傍にいてくれるような人だ…


その朱月君がこれほどまでに暴れたり人に迷惑や心配をかけたりしているって事…

そしてさっきの言葉…

私の事を大切に思ってくれているために起こってしまったこと…

そして朱月君をこれ以上苦しめたくない…

千秋だって苦しんでる。

そう思った時…いやもうずっと前からかな…

涙が止まらなくって…

視界がぼやけて…皆の顔がはっきり見えなくって…




「ご…ごめんなさい…千秋もっ…

あ…朱月君もっ…

みんな…くっ…苦し…めてっ…ご…ごめん…なさ…っ…」



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