君色の空

私はここだよ…

「あの、あなた…名前もちろん憶えてないよね?」

私は、蓮に、1つづつ憶えられるように

ゆっくり丁寧に、蓮に教えていった。


名前が、木村蓮であること。


双子の弟がいたということ

でもその弟は、事故死していて、今はもう居ないこと。

そして、さっき居た女性は蓮の母親だということ。


「……そうか……。…ねぇ、君は……


君の名前は………何……?」


一通りの説明も終わって、一息ついていた時、
蓮が私にそう聞いた。



「私は、蓮の……あなたの友達で、花園 亜美。

一応、女優やってるのよ。これでも。」


「女優………。ごめん、分らない。」

そう……だよね…。


「そうだよね。そうだ!!りんご、剥いてくるねうさぎリンゴ。食べるでしょ?」

「ああ。」

私は、すぐ横にある小さい机の上にあったお見舞いの果物カゴの中から、りんごを1個手にとって、果物ナイフで、すらすらと剥いていく。


「すっげぇ……すっげぇ……」


すらすら薄く剥かれて行く作業が面白いらしく、小さな子供のように眼を輝かせて、剥き終わるまでずっと飽きずに見ていた。


それが、可愛いと思ったりもして。



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