あの日の夢をつかまえて
みぃくんと付き合い始めたのは、2年前。
私達が26歳の時だった。
偶然乗った電車で。
ふと前の座席に座っている男性を見ると、見覚えがあると思った。
『澤田くん?』
声をかけるとみぃくんは驚いた表情で私を見てから、
『貴島さん、久しぶり』
と、笑ってくれた。
『高校の卒業式以来だよね?』
『そうだよ、何年ぶりかな?元気だった?』
懐かしくて。
たくさん話して。
気づいたら私が降りる駅に着いていた。
『じゃあ、私はここで』
名残惜しい気持ちでそう告げて電車を降りると、
『あの、もっと話したいから……』
と、みぃくんも電車を降りた。
扉が閉まり、次の駅へと走って行く電車。
『……もう少しだけ、一緒にいませんか?』
みぃくんの顔が赤く見えた気がした。
そのことが嬉しくて。
胸がドキドキした。
私達は駅のホームのベンチに座って、次の電車が来るまでおしゃべりを楽しんだ。