あの日の夢をつかまえて
第2章
第1話
みぃくんと付き合う少し前。
私は珍しく開いた新聞紙の見出しで。
みぃくんが将棋棋士であることを知った。
【◯◯市出身、将棋棋士澤田光臣四段が対局を振り返る】
将棋界の注目若手棋士との対局を振り返った、みぃくんのインタビュー記事だった。
その若手棋士は将棋棋士になるための養成機関である「奨励会」に入会後、めきめきと勝ち進んで、史上何番目かのはやさで四段に昇段したと紹介されていた。
「四段って何?どういうこと?」
そばにいた父に尋ねると、
「将棋には段位があるんだよ。一番上が九段。四段っていうのは将棋の対局をしてお金が貰える、プロとして認められる段だな」
と、教えてくれた。
「四段になるにはなぁ、奨励会の『三段リーグ』っていう戦いで上位2名の内に入んなきゃいけなくてさ。それがまた厳しい戦いなんだよなぁ」
「そうなの?」
「確か年齢制限があったはず。26歳だっけ?それまでに四段になれなかったら、退会」
「退会!?」