あの日の夢をつかまえて
第2話
みぃくんと恋人同士になって、初めてデートをした日。
水族館の中。
大きな魚がのんびり泳ぐ水槽の前で。
みぃくんの左手が、そっと私の右手に触れた。
繋いでくれた繊細なみぃくんの手が。
優しくふんわり。
私を包みこんでくれた。
『みぃくんの手、すごくキレイだよね』
繋いだままの手を少し持ち上げて言うと、
『そう?自分じゃよくわからないよ』
と、みぃくんは笑った。
それから、
『香夜ちゃんの手は可愛い』
と言ったので、
『いいよ、無理して褒めなくても』
なんて、私のほうが照れてしまった。
野口さんから将棋教室の話を聞いて、数日が経ったある日。
「……オレ、本当に行くの?香夜ちゃん」
みぃくんの部屋。
まだ上着を持ったまま動こうとしないみぃくんの背中を押しつつ玄関に向かい、私は大きくうなずいた。
「将棋教室にはちゃんと事前に連絡をしておいたから大丈夫だよ!見学させてくださいって言ったら、快く返事してくれたよ?時間も決めて、約束だってしたんだから!」