あの日の夢をつかまえて
「将棋教室で教えています」
みぃくんは、はっきりした声で言った。
男性は口角を上げて、
「なんだよ、それ。かっこ悪……」
と、吐き捨てるように呟いた。
今度こそ黙っていられなくて。
「さっきからなんなの!?」
私も思いっきり男性を睨んで突っかかる。
許せない。
男性に一歩近づこうとすると、みぃくんが私の腕をつかんで止めた。
「急ぐので失礼させていただきます」
みぃくんは私の手をとり、早足で歩き始める。
「オレからも逃げるのかよ」
と、背後で男性の声が聞こえた。