あの日の夢をつかまえて
穏やかなみぃくんの笑顔が見えた気がして嬉しくなり、
「行きます!今ね、もうすぐ◯◯駅だよ」
と、はしゃぐように伝えた。
みぃくんが○△駅まで迎えに来てくれて。
みぃくんのひとり暮らしをしている部屋にふたりで帰って来た。
玄関で靴を脱いで。
2、3歩進んで、みぃくんの背中に抱きつく。
「何?甘えん坊モード?」
みぃくんが笑ってくれた。
振り返って抱きしめ返してくれる。
ふたりともしばらく黙って、ただお互いを抱きしめていた。
「……今日さ」
言いにくそうにみぃくんが口を開く。
「今日さ、次の対局相手が西村くんだってわかって、師匠に頑張るんだぞって励まされてたんだ」
「西村くん?」
「うん。同門じゃないけれど、よく話す棋士のひとり。まだ若いよ、23歳」
みぃくんの声が緊張しているみたいだった。
私の体を抱きしめるみぃくんの腕の力が、ほんの少し強まる。