あの日の夢をつかまえて
第2話
それから。
数日が経った。
みぃくんは相変わらずニコニコして、穏やかに過ごしている。
……ううん。
きっとそういうふうに過ごそうとして、頑張っているんだと思う。
傷ついていないはずなんてないから。
仕事が終わって。
まっすぐ帰る気になれなくて。
私は電車に乗って××将棋教室の前まで来てしまった。
この扉の向こうで、みぃくんは将棋を教えているんだなって思った。
「澤田先生ぇ、わかりませーん」
創路くんの声。
「創路くん、惜しいよ。これ、もう少し考えてみたらきっと解けるよ」
みぃくんの優しい声も聞こえてきた。
「え!?これ、惜しいの!?じゃあ、まだ答えは言わないで!!ひとりで解けるなら挑戦したい!!」
みんなの笑い声の中に、みぃくんの笑い声を見つけた。
穏やかで、楽しそう。
本当は少し待って、一緒に帰るつもりだったけれど。
私は安心したこともあって、ひとりでビルを出た。