あの日の夢をつかまえて
第2話
子どもの頃から将来の夢というものが見つけられなかった。
高校生の時、進路の話題が多くなってきた頃。
いとこのお姉さんの結婚式で、ウエディングドレスを着た彼女を見た時に思った。
(私もいつか、ウエディングドレスが着たい)
唐突に生まれた夢。
学校の友達に打ち明けると、
『何言ってんの?それじゃ進路、決めらんないよ?』
と、渋い顔をされた。
何も言い返せず、笑ってごまかしてやり過ごしたっけ。
その日の放課後、当時同じクラスだったみぃくんと初めて会話した。
優等生で有名だったみぃくん。
その頃にはすでに、将棋棋士になるための養成機関である「奨励会」に入会していたらしいけれど。
私はそのことをちっとも知らなくて。
成績優秀なクラスメートという認識しか持っていなかった。
そのみぃくんと日直当番が一緒になって、日誌を仕上げている時。
『さっき聞こえたんだけど』
日誌に視線を落としたまま、みぃくんは言った。