朝、キスして。

瞬を探しながら歩き回っていると、陽の光を遮るほどの木陰道に来ていた。


重なる葉の隙間から見えるのは、点々とした青空。

描く飛行機雲も一部しか見えない。


陰を作り、人を寄せつけないとでもいうかのように木々が謳う、神秘的な空間。

……立入禁止の場所だったかな?


踵を返そうとして、ふと。

東屋のようなものが視界に入った。


屋根がついたベンチ……に横たわる人影。


……見つけた。


「瞬?」


腕で目元を覆うようにして寝ていたその人影は、ピクッと反応した。


……ってちょっと待って。

話しかけてどうするの?


ハルくんとのことで誤解してないか聞こうと思ったけど……。

そもそも瞬は、そんなこと気にも留めてないかもしれないじゃん!


何も言ってこないのは、私が誰と噂になろうが興味ないから。

誤解されたら嫌なのは、私が一方的にそう思っているだけ。


……うん、一旦冷静になろう。

冷静になって考えてみよう。

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