朝、キスして。

いきなり前から3番目の席になるとは思わなかったな。

出席番号順で座ると、いつも後ろか、後ろから2番目だったから。


そんなことを考えていると、瞬が教室に入ってきた。


「瞬。今年は同クラだぜ。よろしく!」

「おう」

「つーか、見た?うちのクラス、お前も含めて渡辺が4人もいるぞ」

「らしいな」


早々、新しいクラスメイトに声をかけられる瞬。


同じ教室に瞬がいるのは、中2のとき以来。

相変わらず友達が多いなぁ。


……なんて呑気にぼけっと見ていた私が悪かった。


「っ!」


不意に瞬がこっちを見て。

目が合った。


となれば、私が取る行動はひとつ。

目を逸らすだけ。

今までだってそうしてきた。


だから今回も……パッと顔を背ける。


だけど、その逸らし方がまずかった。

磁石が弾かれたみたいに顔を背けたことで、逆に意識してるみたいになっちゃった。


やだな。別に意識してるわけじゃないのに。

平常心、平常心……。


────ガタッ。

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