朝、キスして。
EP.06*ふざけんな
「はぁ……」
昼休み。
廊下の窓でたそがれる私から漏れるのはため息。
あのあと──瞬が『フィアンセ』と答えたあと。
何があったのかと言いますと……。
「「ええぇぇぇぇぇえっ!」」
刹那の間のあと、大気を裂くのではないかと思うほどの驚愕が教室を駆けめぐった。
……私はね、クラスではわりと静かにしている方なの。
大声を上げたり、叫んだり。普段はしない。
大人しく平穏に過ごせればいいかなって……。
……でもね。
「違うからっ!」
振り返って、大声で否定する。
案の定、瞬はからかうような笑みを浮かべていた。
“大人しく”というポリシーに反してでも叫ばずにはいられない!
よくもまあ、堂々と嘘をつけたね。
フィアンセってなに!?
勝手に幼なじみから格上げしないで!
「違うの?」
「違う!ただの幼なじみ」
あっ……言っちゃったよ、幼なじみって……。