朝、キスして。
たそがれたくなる気分がわかるでしょ?
ため息をつきたくもなるよ。
「何か悩み?」
独り言のようなため息を吐いたあと、突如、その声が下から届いた。
「っ!?」
「やっぱり気づいてなかったんだ」
ここは1階の廊下。それも校舎裏に面した場所だから、誰もいないと思っていた。
現に廊下には生徒の姿がないし……。
だけど、開いた窓の外。
真下の死角に、校舎の壁に寄りかかるようにしてハルくんが座り込んでいた。
「い、いつからそこにいたの…?」
「あんたが来るより前から」
ハルくんの頭上でため息を吐いたってこと?
恥ずかしい……。
「あの……今のため息は、聞かなかったことにしてください……」
「なんで?」
「悩みがあるとかじゃなくて……なんとなく出ただけだから」
「ふーん」
言い訳にしか聞こえないよね……。
ハルくんも納得してないみたいだし。
……いや、興味がないだけかな?