朝、キスして。

強い。

森下さんとバチッたときも思ったけど、強い。


何か特殊能力を持っているのではないかと疑ってしまうくらい、ハルくんの言葉には冷ややかさがある。


……だけど。


空気が凍てつけば凍てつくほど、私の中に生まれる温もり。

じんわり柔らかい灯りが広がっていくよう。


だって、それらの言葉はすべて、私を庇って言ってくれていることだから……。


「はぁ……。うっざ」


輝くんは、軽くため息を吐いたあと、悪態をつきながら私の横を通り過ぎていった。


そんな彼の背中を茫然と見つめる私。


「悪かったな」


不意に言葉が届いて。

視線を輝くんからハルくんへ移す。

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