朝、キスして。
「ん?何が?」
「宿泊研修の2日目のとき、庇ったつもりだったけど、余計に話を大きくさせた」
「そんなことないよ。今もあのときも、ハルくんが庇ってくれたから、こうして平和に過ごせているんだし。ありがとう」
お礼を言うと、ハルくんは目を開いた。
彼にしては珍しい、驚きがその表情から読み取れる。
……ちょっとだけだけど。
何か変なこと言ったかな…?
ハルくんはすぐに表情を戻したけれど。
口を開いてこぼしたのは、やっぱりよくわからない言葉だった。
「あんた、強いな」
……強い?
「そうかな…?私、どちらかといえば弱い方だと思うんだけど。あんまり握力ないし、よく舐められるし」
「ふっ」
は、鼻で笑われた……。
「そういう意味じゃないんだけど……」
「……え?」
「まぁいいや。そろそろ教室に戻らないと」
そうだ!次、体育だ!
私も戻らないと……。
「有咲」