朝、キスして。
今度こそ戻ろうと振り返った私を、ハルくんが呼び止める。
「あまり1人で背負い込むなよ。俺でよければ話し相手になるし」
その言葉を残して、先に立ち去ったハルくん。
見せたのは、氷王子とは到底思えないほどの柔らかい表情だった。
……ハルくんって、実は優しいよね。
結構気にかけてくれるし、硬派って言われているわりにさらっと女の子扱いしてくれるし。
クールなのが魅力らしいけど、案外、優しさとのギャップが1番の魅力なんじゃないかな。
“イケメン”“クール”“優しい”って最強装備だよね。
……黙っとこ。
ただでさえ苦労してるみたいだし。
そんなことを考えながら教室へ帰る私は、ハルくんの優しさが当たり前ではなかったことに気づけなかった。