朝、キスして。
更衣室に着くと、ほとんどの人が着がえ終わっていて、体育館へ移動を開始していた。
「先に行ってるね」と言う優雨ちゃんを見送って、私も急いで着がえる。
とりあえず今は、かいた恥のことも瞬のことも忘れよう!
ボタンを外してシャツを脱ぎ、体育着を着て……襟から頭を出したとき。
「「幼なじみ!?」」
複数人の重なった声が耳を貫いた。
体育の授業は2クラス合同で行う。
4組は隣のクラスの3組と……。
その3組の女子が声を上げた。
忘れようとした矢先に、それ。
ドキリと心臓が跳ね上がったのは言うまでもない。
「じゃあ、飯島と一緒にいたのは、彼女じゃなかったってこと?」
どうやら私と瞬のことではないらしい。
幼なじみというワードだけで反応してしまう私の心をどうにかしてほしい。
「よかったじゃん、彼女じゃなくて」
「でも、幼なじみだよ?……ちょっと複雑」
「まぁその気持ちはわかる。好きな人に異性の幼なじみがいるのってなんかやだよね」