朝、キスして。

更衣室に着くと、ほとんどの人が着がえ終わっていて、体育館へ移動を開始していた。

「先に行ってるね」と言う優雨ちゃんを見送って、私も急いで着がえる。


とりあえず今は、かいた恥のことも瞬のことも忘れよう!


ボタンを外してシャツを脱ぎ、体育着を着て……襟から頭を出したとき。


「「幼なじみ!?」」


複数人の重なった声が耳を貫いた。


体育の授業は2クラス合同で行う。

4組は隣のクラスの3組と……。

その3組の女子が声を上げた。


忘れようとした矢先に、それ。

ドキリと心臓が跳ね上がったのは言うまでもない。


「じゃあ、飯島と一緒にいたのは、彼女じゃなかったってこと?」


どうやら私と瞬のことではないらしい。

幼なじみというワードだけで反応してしまう私の心をどうにかしてほしい。


「よかったじゃん、彼女じゃなくて」

「でも、幼なじみだよ?……ちょっと複雑」

「まぁその気持ちはわかる。好きな人に異性の幼なじみがいるのってなんかやだよね」

< 136 / 343 >

この作品をシェア

pagetop