朝、キスして。

*瞬Side*


「なんでデートすることになってんの?」


学級委員の集まりが終わったあと、教室で1人、スマホをいじりながら待っていた森下レミに声をかけた。


『レミを迎えに行くの?』

『迎え…?』

『聞いたよ。これからデートなんでしょ』

『は?』


そんな会話をしたのはついさっきのこと。

ここに来る直前、クラスの女子たちに会って身に覚えないのない話をされた。


「話があるとは言ったけど、誘った覚えはねぇよ」


そもそも話があると言ったら、『じゃあ放課後待ってる』って言ったのはそっちだろ。

こっちは、さっさと話を済ませるつもりでいたのに。


「意味は同じでしょ。それより、どっかカフェに行こうよ。話ならそこで聞くし」


立ち上がって鞄を持つ森下。

あくまで外へ連れ出す気らしい。


話が通じない相手じゃないけど、掴みどころがないのは厄介だな。


「はぁ……」と俺はため息をひとつ。


そっちがその気なら……ってわけじゃないけど。

こうなりゃ単刀直入に。


「あのさ、有咲につっかかるのやめてくれる?」


俺の横を通り過ぎて教室を出ようとする森下に、そう言って切り込んだ。

< 147 / 343 >

この作品をシェア

pagetop