朝、キスして。
*瞬Side*
「なんでデートすることになってんの?」
学級委員の集まりが終わったあと、教室で1人、スマホをいじりながら待っていた森下レミに声をかけた。
『レミを迎えに行くの?』
『迎え…?』
『聞いたよ。これからデートなんでしょ』
『は?』
そんな会話をしたのはついさっきのこと。
ここに来る直前、クラスの女子たちに会って身に覚えないのない話をされた。
「話があるとは言ったけど、誘った覚えはねぇよ」
そもそも話があると言ったら、『じゃあ放課後待ってる』って言ったのはそっちだろ。
こっちは、さっさと話を済ませるつもりでいたのに。
「意味は同じでしょ。それより、どっかカフェに行こうよ。話ならそこで聞くし」
立ち上がって鞄を持つ森下。
あくまで外へ連れ出す気らしい。
話が通じない相手じゃないけど、掴みどころがないのは厄介だな。
「はぁ……」と俺はため息をひとつ。
そっちがその気なら……ってわけじゃないけど。
こうなりゃ単刀直入に。
「あのさ、有咲につっかかるのやめてくれる?」
俺の横を通り過ぎて教室を出ようとする森下に、そう言って切り込んだ。