朝、キスして。

「勘違いじゃないことは自分が1番よくわかってる」


今は幼なじみだとしても、俺が望むのはそれ以上の関係。

他人に指摘されても変わらない。


「それに……長く一緒にいると、勘違いより気づけないことの方が多いよ」


俺はそこで一旦、言葉を切る。


気づけないことの方が多いのは俺の話だが、俺に限った話ではないのかもしれない。

だから、余計なひと言だとは思いつつも、口を開く。


「おまえらは違うの?」

「っ!」


さっきより大きく目を見開いた森下。

その表情は“なんで知ってるの?”と言いたげだ。


俺が2人の関係を知ったのは、今から2ヶ月以上前の3月に入ったばかりの頃。


『レミ、今夜空いてる?』

『……空いてるけど』


人気のない廊下を歩いていたときに見つけた男女。

男の方は地べたに座ってスマホをいじっていて、女の方はその隣に立って窓にもたれている。


あれは……隣のクラスの森下と……。

有咲の彼氏の輝。

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