朝、キスして。

理解するのに時間はかからなかった。

だって、あまりにもまっすぐな言葉だったから。


「え?」


……だとしても、簡単には信じられなくて。


嘘、だよね…?


だっておかしいじゃない。

さっき自分の気持ちに気づいたばかりなのに、いきなり『好き』って言われるなんて……都合がよすぎない?


おかしいおかしい。

漫画だったら、ご都合主義の展開に読者からクレームが入るパターンだよ。


ってことは、これは白昼夢?


きっとそうだ。

恋する乙女の特技は妄想。

ご都合主義の妄想なんてお茶の子さいさいだもんね。


好きだってわかった途端、こんな都合よく考えるようになっちゃうのか。

怖いなぁ……。


「痛っ!?」


トリップしかけた私。

飛んできたデコピンに意識を戻す。


「なにぼーっとしてんだよ」


痛い……。

おでこに熱を感じる。

痛みも残っていて……。


じゃあ、夢じゃないんだ。


「どうせ『嘘だ』とか『からかってるんだ』とか思ってたんだろ」


呆れた顔で瞬が言う。

見抜かれてる……。

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