朝、キスして。

まっすぐ目を見て伝えれば、唖然としていた瞬がいきなり……。


「はぁ~~~~~」


と深い息を吐き出しながらしゃがみ込んだ。

突然のことで私はびっくり。


「どうしたの?」

「おどかすなよ。好きな奴いるとか言われて、一瞬、どん底に落ちたぞ」


どうやら安心で気が抜けたみたい。


うずくまって項垂れる瞬の背中が、なんだか愛おしくなる。


意地悪したり、飄々としていたり。

かと思えば、まっすぐ伝えてきたり。


瞬のそんな言動ばかり見てきたから、私の言葉ひとつで動揺を見せる姿に懐かしさを覚えた。


私も腰を落として。


「ごめんね?」


なだめるように言う。

頭を上げた瞬はふくれっ面だったけど……。


「そんな可愛い顔で言われたら、許すしかないじゃん」


徐々に口元を緩めた。


同じ高さで視線が重なって、微笑み合う私たち。

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