朝、キスして。
お店まで歩いて10分程度。
先頭をパパたちが、その後ろにママたちがついて、最後尾を私と瞬が歩く。
こういう家族ぐるみの付き合いのとき、この組み合わせになるのは昔からのお決まりで。
今さら疑問に思うことはない、けれど……。
「で?」
隣を歩く瞬が声のトーンを下げて、
「この距離はなんなの?」
不満そうな顔で見下げてくる。
私と瞬の間にある、人ひとり分の距離。
私があえて作ったそれに、瞬は当然のごとく難色を示した。
「べ、べつにー……」
「なに?意識してんの?」
「してないよ」
しれっと言うけど……。
してます!すごくしてます!
幼なじみから恋人へ。
関係が変わったからって、いきなり「私たち、恋人になりましたー!」なんて態度ができると思います?
私はできません。
隣を歩く。
たったそれだけのことが気恥ずかしい。
それに、親の前だし……。
「意識してないなら、もっとこっちに寄れよ」
「……やだ」
ぴくりと眉を動かす瞬。
何を思ったか、人ひとり分の距離を埋めてきた。
肩が触れる。