朝、キスして。
「それじゃあ、ここからの進行は学級委員の2人にお願いします」
本当に、なんでこうなるのかな……。
仕方ないから前に出る。
「俺が進行するから、あり……」
────ギロリ。
「渡辺さんは、書記をやって」
みんながいる前で“有咲”とは呼ばせない。
睨みを利かせれば、素直に従ってくれた瞬。
彼の司会進行は見事なものだった。
委員決めは難航するのが普通。
仕事が楽な係や人気の委員──例えば、放送委員なんかは、人が集まりじゃんけん大会になる。
逆に不人気委員──例えば、美化委員はやりたがる人が少なくて、押しつけ合いになる。
そんな中でも瞬はきちんと時間内に全部を決めきった。
「ほんと頑固だよなー」
ホームルームが終わって、教卓の上。
各委員(および係)の担当者の名前を黒板から提出用の紙に書き写していると、瞬が話しかけてきた。
「誰が?」
「有咲が。……俺がやるって言ったとき、素直に引いとけば学級委員をやらずに済んだかもしれないのに」