朝、キスして。
「っ!?なにすん……っ」
ただ触れるだけならまだしも。
ぐっと押されて、どんどん壁際に追い込まれていく。
ついには反対の肩が壁に当たり、擦られ……。
「ぎゃー!削れる削れる!」
私という存在が削れていく!
痛くはないけど、声を上げてしまった。
すると、そんな私の声にママたちが反応。
「何してんのー?」
「仲良いね」
この状況を見て、呑気に笑う。
あなたたちの目は節穴ですか?
仲良いというか……。
拗ねた瞬の子どもっぽい行動に巻き込まれているだけなのですが……。
「有咲は付き合ってること隠したいの?」
再び歩き出して、瞬が訊いてきた。
会話が聞こえないよう、ちゃんと声を落としてくれた。
「ううん」
「じゃあどうして、あからさまに避けるんだよ」
バレないかとひやひやしているけど、隠したいわけではなくて……。
自分の気持ちをうまく言葉に乗せるのは難しい。
それでも言葉にして言わないといけないならば……。
「今は、付き合うだけでいっぱいいっぱいなの。その上、ママたちに騒がれたら……パンクする」
困惑、かな。