朝、キスして。

お店に着いて、通されたのは掘りごたつの個室。

初めて来たしゃぶしゃぶ屋さんだけど、安らぎを感じる和の内装で、全室個室だから落ち着きがある。


飲み物が運ばれて食事会がスタートした。


「聞いた?瞬と有咲、いま同じクラスなんだって」


口火を切ったのは、うちのママ。

それに対して、

「そうなの!?」とパパたちが大げさに驚く。


「私もこの前知ったの。しかも、2人で学級委員やってるんだって」

「学級委員!?有咲はまだしも、瞬が?」

「なんだよそれ。俺、わりとそういうの得意だよ?」

「えー、どうだか。……そうなの?」


疑いの目を向けたまま、瞬パパが私に訊いてくる。


「うん、まあ……まとめるのはうまいかな」

「“まとめるのは”ってなんだよ。それじゃあ、他がダメみたいじゃん」

「ダメダメじゃん」

「おいこら」


会議があるのを忘れてたり、点呼取りを面倒くさがったり。

委員会を決めたときの提出用紙。

『俺が出しに行く』って私から奪ったくせに、結局出し忘れて、私が先生から「まだか」と催促されたんだから!

< 172 / 343 >

この作品をシェア

pagetop