朝、キスして。

まとめるのはうまいけど、基本が不真面目。

手放しに褒めることはできない。


「あはは!やっぱり」

「有咲が言うなら間違いないな」


軽口を叩けば、場に笑いが起きた。


なんかこういうの、懐かしい……。


瞬を避けていた頃の私は、家族ぐるみの付き合いに一切参加しなかった。

だから、みんなが揃う場にいるのが本当に久しぶり。


人見知りするかなと思っていたけど、全然そんなことない。

初っ端から軽口を叩けるほど、温もりも居やすさも変わらない。


──だから私は、つい気を抜いてしまったんだ。


話が移り、学校での様子について根ほり葉ほり尋ねられる。

そんな中での一幕。


「こいつ、彼女いる?」


瞬パパから容赦ない質問が落とされた。


それまではなんでも答えてきた私も、その質問にはぐっと言葉を呑む。


答えがあって、それを私は知っている。

でも、答えられない。


気を抜いていなければ、いつかそういった質問が飛んでくることはわかっていたはずなんだ。

どうしたって気になる話題だから。

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