朝、キスして。
「しない」
首を振って、私は不参加の意思を示す。
「えぇ、どうしてー?」
「そういうの興味ないから」
「うーん、そっかぁ。了解。幹事の子にそう伝えとくね」
少し残念そうな顔を見せながらも納得して、彼女は立ち去った。
自販機に向き直って、紅茶のボタンを押す。
────ガコン。
取り出し口に飲み物が落ちたとき。
「断ってよかったの?」
その声がした。
振り返ると、彼女たちと入れかわりで有咲がやって来た。
「あっ、待たせちゃってごめんね」
思い出したように謝る有咲。
なんで謝るんだろう、と思ったのも束の間。
お弁当を忘れたから購買に買いに行く、という彼女についてきて待っていた──のを思い出した。
「ううん、平気」
飲み物を取り出して、私たちは教室へ踵を返す。