朝、キスして。
「さっきの子、友達?」
階段を上りながら、ふと。
有咲が訊いてきた。
「そう。中学のときのね」
「クラス会やるんだね。参加しないの?」
「興味ないし、それに……友達なのは昔の話だから」
我ながら意味深なことを言ったと思う。
有咲が首を傾げるのも無理ない。
「別に深い意味はないよ。中学3年間同じクラスだったけど、高校に入ってからはほとんど話さなくなったってだけ」
「そうなの?仲良さそうに見えたけど」
「あの子は誰とでも仲良くなれるからね。まあそれでも、クラスが離れたら話さなくなって……結局、その程度の関係だった」
友達と親友のラインが私にはわからない。
だとしても、彼女は親友だったと思う。
3年間一緒にいて、卒業アルバムや中学時代の写真を覗いたら必ず彼女が一緒に写っている。
勉強や部活の悩みを聞いたり話したり。
芸能人の話で盛り上がったり、恋バナで興奮したり。
同じ高校を目指すってわかったときは嬉しかった。
一緒に試験会場に行って「頑張ろうね」と励まし合ったし、合格発表では2人の番号を見つけて泣いた。
そんな私の青春は、あくまで青春にすぎなかった。