朝、キスして。

窓に面したベッドで、こちらに背を向けるようにして瞬が眠っている。

パチッと電気をつけても、起きる気配なし。


「瞬、朝だよ。起きて」


ベッドの横に立って、声をかけただけで起きてくれれば苦労はしない。

横向きで静かに眠る瞬。


私の最近の日課は、朝、瞬を起こすこと。


瞬は朝に弱くて、いつもチャイムギリギリで登校してくる。

遅刻したことはないけれど、いつかするんじゃないかと心配。

だから、自主的に起こしにくるようになった。


それに、せっかく隣の家なんだもん。

一緒に登校したいじゃん?


ベッドに片膝をついて乗ると、ギシッと音を立てた。


覗くようにして瞬の寝顔を拝見。

……可愛い。

いつもここで一度動きが止まる。


「起きてー」


身体をゆすって、いよいよ本気で起こしにかかる。


ここから先は、運。

反応を見せるときもあれば、なかなか起きないときもある。


今日は──

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