朝、キスして。

「え……っ!」


布団の下からすっと手が伸びてきた。

その手は私の腕を掴んで……。


はっとしたときにはもう、私は瞬の腕に捕まっていた。


布団の中でぎゅっと抱きしめられる。


「ちょっ……!」


びっくりして顔を上げたら、待っていたかのように、瞬がにやり。


「いいよ、してくれなくても。俺がするから」


その言葉を理解する間もなく、キスが落とされた。


ちゅっと、愛らしい音を立てるキス。

ついばむようなそれに、顔がぼっと熱くなる。


朝からなんちゅーことを!

寝ぼけてるならまだしも……。

寝転びながら肘をついて不敵な笑みを見せてくる瞬は、完全に目を覚ましていて。


この男、わかっててやってる!


「普通に起きてよ。心臓に悪い」

「いやいや。煽ったのはそっちだからね」


思わずむっと頬を膨らます。

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