朝、キスして。
すると、瞬がふっと笑みをこぼした。
「なに。すげぇ励ましてくれんじゃん」
確かに……。
私、なんで励ましてるんだろう。
放っておけばいいものを、気休めの一般論を持ち出してまで口を挟んでいる。
有咲の味方をしたいから?
寂しそうな瞬を見ていられなくて?
どれも、そんな気もするし違う気もする。
「次からは有咲も誘って迎えにくるよ」
瞬がそう言ったとき、気がつけばもう家の前にいた。
「えっ……。次もあるの?」
「なんも解決してねぇのに終わらせらんないだろ」
「そ、そうだけど……。あまり迷惑かけたくないし」
「別に迷惑じゃないけど。俺が嫌なら、吉田あたりに頼む?家近いからチャリで飛ばせば……」
「いい!瞬がいい」
……って。私、なに言ってんの?
遮るように出た言葉。はっとしたときにはもう遅くて、瞬も目を開いて驚いている。
だけど、特に疑問に思う様子はなく。
「そう?じゃあそういうことで。またな」
来た道を引き返していった。