朝、キスして。

「私ってそんなにわかりやすい?」

「どうだろ。俺は有咲のこと見てたからわかったけど」


そういえば、ハルくんは気遣い屋さんだったっけ。

クールで「氷王子」なんて呼ばれているけど、本当はすごく気にかけてくれるし助けてくれる。

だから、私の機微にも気づいたのかも。


「元気ないっていうか……、自分が情けない、というか……」

「なにかあった?」


優しいハルくんの問いかけに、心が苦しくなった。


思えば私は、結構ハルくんに情けないところをお見せしている。


宿泊研修のとき、噂話を聞かれたり躓いて転びそうになったり、森下さんへの反論がグダグダだったり。

輝くんのときにも、『ビッチ』と言われたのを聞かれた。


むしろ情けないところしか見せていない気がする。

だからかな。


「優雨ちゃんが──……」


気づけば、瞬と優雨ちゃんのことを話していた。

自分の穢れた心の部分まで包み隠さずに。


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