朝、キスして。

「お疲れ」

「2人ともありがとう」

「ううん、気にしないで」


10時を少し過ぎた頃に、優雨ちゃんがバイトを終えて店から出てきた。


キョロキョロしたあと、安心したみたいにほっと息をつく。

どうやらその怪しい人はいないみたいで。

夜のせいもあってかちょっと緊張していた私も、緊張の中に緩和を置いた。


……気を抜いたときにやってくる恐怖ほど恐ろしいものはないと、次の瞬間に身を持って体感するのだけれど。

それはまた別のお話……、


じゃなぁーーーい!!!今のお話!!!

恐怖を通り越して頭がおかしくなった!


そう、頭がおかしくなるほどの恐怖。

歩き出してすぐ、後ろからものすごい足音がして。

振り返って──いた、そこに。


街灯に照らされて浮かび上がる男。

黒髪、黒ぶちメガネ、黒いスラックス、白いシャツ。体格は華奢で、顔は男というよりまだ少年っぽさを残した同い年くらいの男の子。

というか、制服を着ているのだから中学生か高校生(コスプレじゃなければ)。


「っ!!?」


瞬の友達ではなさそう。

優雨ちゃんの知り合い、でもなさそう。


つまりは……本当に現れた!?
ストーカーが!

< 228 / 343 >

この作品をシェア

pagetop