朝、キスして。
「お疲れ」
「2人ともありがとう」
「ううん、気にしないで」
10時を少し過ぎた頃に、優雨ちゃんがバイトを終えて店から出てきた。
キョロキョロしたあと、安心したみたいにほっと息をつく。
どうやらその怪しい人はいないみたいで。
夜のせいもあってかちょっと緊張していた私も、緊張の中に緩和を置いた。
……気を抜いたときにやってくる恐怖ほど恐ろしいものはないと、次の瞬間に身を持って体感するのだけれど。
それはまた別のお話……、
じゃなぁーーーい!!!今のお話!!!
恐怖を通り越して頭がおかしくなった!
そう、頭がおかしくなるほどの恐怖。
歩き出してすぐ、後ろからものすごい足音がして。
振り返って──いた、そこに。
街灯に照らされて浮かび上がる男。
黒髪、黒ぶちメガネ、黒いスラックス、白いシャツ。体格は華奢で、顔は男というよりまだ少年っぽさを残した同い年くらいの男の子。
というか、制服を着ているのだから中学生か高校生(コスプレじゃなければ)。
「っ!!?」
瞬の友達ではなさそう。
優雨ちゃんの知り合い、でもなさそう。
つまりは……本当に現れた!?
ストーカーが!