朝、キスして。
「それにしても、とんでもない行動力だったね」
「とんでもないどころか、迷惑でしかないだろ」
「優雨ちゃんと瞬は巻き添え食っただけだもんね」
ストーカー問題(?)は解決したものの、夜も遅いので優雨ちゃんを送っていくことに。
私が断ると、彼は諦めて帰っていった。
嵐のような人だったけれど、断ったときの寂しさを含んだ笑みには心が痛くなった。
それは、好きな人がいることの代償なのかもしれない。
"幸せになる人がいる一方で、傷ついている人もいる”
よく漫画やなんかで聞く言葉を身をもって実感した。
「まあこれで、迎えにくるのもラストってことだな」
「でも、こんなことがあるとやっぱり心配だよね。自転車通勤できないか店長に相談してみたら?」
「……」
返事がないのを不思議に思って優雨ちゃんを見たら、考え込むように俯いていた。
街灯が、そのきれいな顔に影を落とす。