朝、キスして。

「違う、そんなんじゃない。私、そこまで心きれいじゃない。瞬が優雨ちゃんを送ったって聞いてやきもち妬いて……そんな醜い感情を隠そうと優雨ちゃんを心配しただけなの。だから……」


「あー……あれってやきもちだったんだ」


ふっ、と瞬が笑みをこぼした。


淡い光に照らされた瞬の笑顔は穏やかで嬉しそう。

じんわりにじむ優しい顔。


「だったらいいや。うん。全然いい」

「どうして?私、本当にひどいことを思って……」

「俺はさ、優雨を心配するのはいいけど、俺の気持ちは二の次で蔑ろにされてるって思ったんだよ」

「……充分、蔑ろにしたと思うけど」

「なんていうか、俺より優雨が大事、みたいな?俺もやきもち妬いた。だからお互い様」

「お互い様……でいいのかな?」

「うん。つーか、優雨への心配の気持ちだけであの言葉が出たと思ったから傷ついたわけだし、そうじゃないってわかってむしろ安心」


できるなら私はきれいな心を持ちたい。

すべてを広い心で受け止められるような人に……。


でも嫉妬しないのは無理だし、嫉妬心がないのはそれはそれで何にも熱くなれないと思う。


だったら、瞬のように考えられる人になりたい。

マイナスもプラスに変えられるような、そんなきれいな心。


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